呼吸についてー続続編
2020/03/25
呼吸のお話の続続編です。
腹式呼吸と胸式呼吸はどちらの方が良いのか?ですが、
基本的には腹式呼吸の方が余計なエネルギーを使わずに楽に酸素を全身に送れます。
こう書くと腹式呼吸の方が良いと感じるかもしれませんが、そんな事はありません。というか、どちらが優れていると比べるものではなく、場面によって変わるため両方必要です。
運動時など短時間に多くの酸素を取り込む必要がある時には胸式呼吸を使う必要があります。
短時間に大きく息を吸う時には横隔膜や外肋間筋以外にも背筋群が収縮して一気に酸素を取り込みます。こうしないと酸素交換が間に合わないからです。
よく胸式呼吸は浅い呼吸になるという話がありますが、そもそも胸式呼吸が必要な時は酸素交換が間に合っていない場面が圧倒的に多いからです。
ちなみに、腹式呼吸を意識して速く走ってみると分かります。滅茶苦茶苦しいです。
運動時や活発に動いている時に胸式呼吸になるのは自然な事です。ただ、心肺機能が向上すると、少し動く位では腹式呼吸でまかなえるようになります。
ピラティスでは胸式呼吸を推奨していますが、交感神経を活発にして筋肉に適度な緊張を与え、活動時に使える身体にするためのエクササイズと言えます。
逆に安静時やリラックスしている時(食後など)は自然に腹式呼吸になっているはずです。副交感神経が優位になっているからです。大量の酸素交換が必要でないときは、背筋群などに余計な力を使わないため腹式呼吸の方が効率が良いからです。
ただ、不安や緊張など精神的に乱れている場合では安静にしていても胸式呼吸になってしまいます。交感神経が優位になっているからです。呼吸は身体面だけでなく精神面にも大きく影響を受けるため、意識して腹式呼吸をしたい場合には精神的な安らぎが必要だと知っておく必要があります。
平常時は、息を吸う時は横隔膜や外肋間筋が収縮して肺が膨らみます。
ここで、収縮した横隔膜などが緩む事により呼気は行われています。筋肉は緩むだけで特別に力を使いはしません。
ただ、努力呼気時は腹部の筋肉を使います。
自分が胸式呼吸か腹式呼吸か簡単に知る方法
これは鼻から大きく息を吸った時にお腹が膨らむかどうかで判断します。息を吸った時にお腹が膨らんでいる時は腹式呼吸をしていると言えます。
これは息を吸って横隔膜が下がる時に、胃などの内臓が圧迫されるのを避けるため内臓が前方へ移動するためです。
また、大きく息を吸った時に肩が上がったりすくんだりしている時は胸式呼吸になっています(背筋群を使っている)。
どちらが優れているかというものではなく、安静時は腹式呼吸、運動など活発に動く時は胸式呼吸と場面によって変わるため両方必要です。
ただ、心肺機能が衰えてくると、ちょっと歩くだけで肩で息をするようになります。胸式呼吸ですね。これは腹式呼吸では酸素が足りなくなるからです。
両方の呼吸が出来る事も大切ですが、ゆっくり歩く程度の動作では腹式呼吸でまかなえる程度の心肺機能を維持する事の方が重要だと思います。